キッチンに降りて行くと、

「あんた、最近千華とべったりみたいだけど、千華に決めたのかい?」

扇で空気をあおぎながらレイラが訊いてきた。

その瞳には探るような、

心の中まで見透かす力があるような、そんな光が宿っている。

「別にそういうんじゃねーよ」

「おや、そーなのかい。

あたしゃまた、やっとあんたが気づいたのかと思っていたのにさ」

「おい、ちょっと待てよ。それ、どういう意味だ?」

「別に、そのまんまの意味だよ。見たのかなー、と思っただけだよ」

意味ありげに微笑みながらレイラが言った。