「悪かったな、つまんない話し、聞かせちまって」

千珠はただ黙って俯いていた。

「じゃあな」

そう言って、武は足早に店を去っていった。

薄暗い店の中、カウンターの端に一人残された千珠の瞳からは、一筋の光が流れていた。