・・・

店の入り口から、

低い男の声が聞こえた。

店にいた客たちも、

そして、私や永遠も、

入口に釘づけになった・・・

静かに歩み寄ったその人は、

私を永遠から引き離し、

無言のまま連れて行く。

・・・

私は呆気にとられ、

何も言葉が浮かばない。

・・・でも、

永遠が黙っちゃいなかった。

「友子を離してください、

高橋課長」

・・・

そうです。

私を無言のまま連れ去ったのは、

高橋航その人だった。

…ピタッと、足を止めた航は、

永遠に向き直り、

一言言った。


「三浦は、

坂崎にはもったいない」