【航side】

・・・秀人の遺言。

自分の亡骸は、この土地に埋葬してほしい。

日本ではなく、この地に。

その遺言を守るべく、

次の日。

結婚式はキャンセルされ、

葬儀が執り行われた。

・・・

参列者は、

オレと友子の二人だけ。

誰にも知らせないでほしい。

それはもう一つの遺言だった。

・・・

すべてが終わり、

近くの海に来ていたオレと友子。

・・・

友子は真っ赤な目で、

力なく笑った。

「社長と、ここに散歩に来ようって、

約束していたの」


「・・・」


「でも、私が倒れてしまって・・・

それで妊娠が分かったんだけど・・・」