私の前ではいつも怯えてる友子。

・・・

航の前で見せるあの優しい表情は

一度だって見せてくれない。

宮崎にすら、

笑顔や、おどけた表情を見せるくせに。

・・・

それが嫌だった。

私にも、その表情を見せてほしい。

幸せそうなあの優しい笑顔を。

・・・

航から無理矢理奪った私には、

きっと見せてくれないかもしれない。

それでも、結婚さえすれば、

いつの日か…

・・・

唇を離した私は、

友子を抱きしめた。

「・・・泣くな」

「・・ぅ・・グス・・」



「これは命令だ、泣くな。

私の前で涙を見せるな」


「・・・」

こんな事しか言えない。

友子は必死に泣き止もうとする。

航に何かあってはいけないと、

きっと、不安に思ってるに違いない。