・・・

慌ただしい毎日が続く。

そんな中、

どんな時も、秀人に見られてるような

そんな錯覚に陥る事もあった。

家に帰っても、

行き帰りの電車の中でも。

・・・

凄く、怖くなる時があった。

こんな時、航に抱きしめてもらえたら。

・・・なんて、

自分で離してしまった航の手。

・・・

こんなこと考えるなんて、

私もどうかしてる。

そう思うと、少し可笑しかった。

・・・

宮崎に頼まれ、

資料室で、資料を集めていた。


「・・・その指輪。

誰かと結婚するのか?」

背後から、そんな声が聞こえた。

・・・

その声が誰なのか、

顔を見なくてもわかる。

だから振りかえる事も出来なかった。