止まらない涙を、

何とか止めた私は、

化粧を直し、社長室の前に来ていた。

・・・

まだ、いるだろうか?

秘書は先に帰ってしまったらしく、

秘書室はもぬけの殻。

・・・

黙ってここまで来たのはいいが、

ここに秀人はいるんだろうか。

不安に思いながら、ドアをノックした。


「…誰だ?」

中からそんな声が聞こえてきた。


「・・・三浦、友子です」

・・・

「・・・どうぞ」

・・・

かすかに聞こえ、

私はドアを開けた。

・・・

デスクに座っていた秀人は立ち上がり、

中に入るよう手招きをした。

一呼吸をいた私は、

中に入り、秀人とは距離を置き、

ソファーの反対側に座った。