「どうかしたのか?」

目の前で、少し息を切らす私に、

航は少し心配そうな顔をした。

・・・

「・・・なんでもありません」

「・・・そうか?

ならいいが・・・

その書類、どうだった?」


・・・あ。

この事を伝えなくてはならない。


「これでいいそうです。

このまま続けてほしいと」

余計な事は考えないように、

仕事だけに集中する。

・・・でも。


「・・・やっぱり、何かあった?」

私がいつもと違う様子に、

もう一度問いかけられ、

私は何とか笑顔を作って、何でもないと言った。

・・・

仕事に集中しよう。

さっきのキスには何の意味もない。

あれは、秀人のお遊び・・・

そう考える事にした。