角から、

出会いがしらに、誰かとぶつかった。

「大丈夫ですか、社長?」

「・・・ああ、私は大丈夫だ。

君…大丈夫?」


そう言って、私を立たせてくれたのは、

ここの社長、

徳間 秀人。(30)

・・・

甘いマスクに、長身。

モデルを思わせるスレンダーな体。

いつもブラックスーツを身にまとい、

秀人を見た女性は、溜め息が出ると言う。

・・・

「すみませんでした」

私は深々と頭を下げた。


「私は大丈夫ですから・・・

それより、何か急ぎでは?」

秀人に言われ、ハッとした私は

もう一度頭を下げて、

総務部へと急いだ。

・・・

「そそっかしい社員ですね、社長」

秘書の鈴木に言われ、

秀人はクスリと笑う。

「可愛い子じゃないですか」