私の怯える様相を不遜に見つめ、右手を伸ばす。



身体が恐怖のあまりに動けない。



あの時の地獄のような日々が走馬灯のように甦る。




「ママ…だれかいるの?」



「チッ…久しぶりにヤろうと思ったのに…邪魔が入ったな…また来るよ…杏」



「もう、こ、こ、来ないでっ!」



「だったら、俺に理沙を渡せ!」


「ママ…」



振り返ると理沙が開いた襖越しに私たちを見ていた。




「パ・・・パ?」



「お前…俺の顔に憶えてるのか…そうだよ。パパだよ…理沙」



「お願いっ!か、帰って!」



私は武に必死に訴える。


「ママはパパが嫌いみたいだ…また来るよ…理沙」