「杏…俺と結婚してくれ」 降り注ぐ雨の中。 雨音にかき消されるコトなく孝典さんのプロポーズの言葉はハッキリと私の鼓膜の奥にまで響き渡った。 「…はい…私…孝典さんがプロポーズを撤回しても付いて行きます!」 「…俺は藤ヶ谷の姓を捨てる…だから…杏…君の苗字を名乗らせてくれ」 「孝典さん?」 「…ダメか?」 「いえ…」 「お前と理沙ちゃんの為にもその方がいいと思う…それに人生を新しく…やり直したい…」 「孝典さん…」