私は藤ヶ谷郁弥さんを部屋に案内した。



「狭い所で…申し訳ありません…」



「いいえ…いきなり押しかけて来た俺が悪いんです…お構いなく…」



「そう言われても…お茶を用意して来ます…」




「藤ヶ谷孝典さんとは交際されているんですよね…」



「いえ…10日前…別れました…」



「別れた??」



「…はい」




私は急須に茶葉を入れ、ポットの湯を注ぐ。




「…そうですか…交際しているなら…是非…彼の説得をお願いしようと」



「説得?」