ワインと前菜のキノコのクリームスープが運ばれて来た。 カチンとグラスを重ね久しぶりの再会を祝う。 杏のコトを考えると食が進まない。 「…杏のコト…考えてる?」 「…お前と再会して…俺は再認識した…俺は結婚してはいけないって」 「…孝典…」 「…愛する人を不幸にするほど…悲しいコトはない…」 俺はグラスの中のワインを干して…窓の向うの煌めく街角を見つめる。 「…杏を本気で愛してるのね…」 「…俺は孤独を好む男だ…むやみに女を口説いてそばには置かない…」