「事実だ。そんな最初から使える研修医なんかいるか」

期待なんてしてない

それと

「ついでだからこれ、塔矢に渡しておいて」

そう言って机の上に立てある黒崎病院ロゴ入りの封筒を渡してくる

「…。あいっかわらず鬼ですね、黒崎先生は。もう少し優しさというものを学んだ方がいいですよ」

なんならレクチャーしてあげましょうか

封筒を受け取りながら向ける瞳は、我ながら座っている

「いらない。そんな暇があるのならさっさと使えるようになれ」

「っ黒崎先生!!」

まだ言うか!!

「暇じゃなんだろう、さっさと戻れ、立花」

冷静な指摘にぐぬぬとうなるだけにとどめられた自分を心底褒めてやりたいと

これほど思った時はない



「絶対に認めてなんてやんないんだから!!」

勢いよく開く扉とずかずか足音を立てて歩くマドンナに

「ご苦労様、立花先生」

黒崎に会えた?

と笑顔を向けてくるのは、塔矢内科医