そんな時は、そっとその逞しい、揺らがない背中に手を伸ばしてみるのだ

そして同じように時を刻む背中に頬を寄せてみる

ごそ、と寝返りにしては大きく海斗の背が動く

「おはよう、海斗」

ごめん、起こした?

半分寝ぼけ眼で振り返る海斗に

「いや、そんなことはないと思う」

と返され、そんなことはないはずがないと思った

「ごめん、もう一回寝ていいよ」

そっと手を伸ばして海斗の意外にも触り心地のいい髪に触れる

「起きた」

「ああ、そう」

見つめてくる漆黒の瞳に

「どうしたの」

「いや、こうしてれば確かにマドンナなのかなと」

それは、どういう意味だろうか

「それってどういうことって聞いた方がいい?」

それともまたわかりにくいことを言ってと流したほうがいい?

「流したほうが、しるふの精神衛生上健康かと」