「朝から元気だな」

小さな部屋にこだまする二人分の笑い声を聞きながら、

ドアを開けて現れたのは噂をすれば何とやら、海斗だ

「あ、黒崎先生、おはよう」

「おはようございます」

見上げてくる二つの瞳は、どことなく似ているような気がした

「ねえ、黒崎先生、もし私が黒崎病院入りたいって言ったら採ってくれる?」

一瞬胡乱気な瞳を向けた後、点滴の残りを確認する

「懲りないな、三橋も」

何もケアする側としても病院に居なくても良いのに

「だって、他にやりたいこと思い浮かばなかったし」

だからさ、

「私が看護師になるまで待っててね」

視線を移せば、無邪気な瞳が笑っている

「さあ、どうかな」

やっぱり似ている、そう思ったのは間違いではないようだ

「そこでわかった、待ってる、って言わないところが黒崎先生らしい」

「簡単に約束はしないのが俺の信条」

きちんと思いを込めて、その覚悟を持てた時、初めて約束を交わすのだ