「さ、話をしようか」
不気味なくらいのぎこちない君の微笑みに、
私は顔を引き攣らせつつ、やんわりと言い返す。
「えっと…、私は話す事なんて何もありません。
授業が始まるので、戻っても良いですか?」
「は…?それじゃ、何のために此処に来たと思ってるわけ?
それとも、君の悪癖、言いふらしちゃっていいの?」
「言いふらしたいなら、勝手にどうぞ。
私は、新学期早々授業に出れないのは嫌ですから…
失礼します」
言う事だけ言った。
後はこの場を立ち去るだけ…。
でも、それは出来なかった。
何でかって…?
それは、私の片腕を、
君に掴まれていたから。

