愁の唇によって、あたしの唇は塞がれていたから
「やっ..やめっ.. .ん!?」
口の中に柔らかくて生暖かいものがするりと入ってきた
「や.,..ふぁ....」
何度も何度も逃げるけど すぐに捕まえて絡ませる
「呼べよ... 優」
「やめ...しゅっ...う...」
愁があたしから一歩あとずさった
「やっと、呼んだな」
「愁だって...愁だってあたしを三浦って呼んだじゃない!」
「そのおかげで、頭ん中、俺で一杯になったろ?」
ニヤリと口角を上げて 笑う
楽しんでる証拠
「なんのために、戻ってきたの?」
落ちた本を拾いあげながら、聞いた
「優と、ヨリを戻すため」
「.......え?」
聞き間違えかと思った
二年前のあたしなら、すぐに抱き付いていたと思う。
でももうあたしは違う
まこだっているし、恋愛感情だって..薄れてる
「無理。あたし、彼氏いるから。」
「大谷誠ってやつ?」
「!?」
「何で知ってるの? そう思っただろ」
....図星だった
「俺の情報網を見くびるなよ?」
「愁には関係ないから」
そういって、図書室から出た。
後ろで愁が「必ず、俺のものにしてやる」そう呟いていたのを知らずに。
