迷恋-メイコイ-



優side


「ハァ..ハァッ....ハァ...」

五階から、二階まで ただがむしゃらに駆け下りた

あれ以上あそこにいたら...今まで溜めていたものが、溢れてしまいそうで...

(........一人に、なりたい...)

そう、思っていつも行くところ

図書室の、一番奥 死角になっていて、古い本しか置いてないから ほとんど人は来ない


カラララ....

図書室の扉を開けて 一番奥の棚に囲まれた、イス


座って窓の外の景色を見る

いつからか、習慣?癖になっていた

同じ空 アメリカにも続いている空

愁も、見ているかなって 見上げるの

「......きれい」

「だな」

「!?」

ふと、呟いた言葉に返事が帰ってきた

返事の主は----...

「..しゅ....雷城...」

愁だった

言いかけた「愁」って

「愁、って呼べよ」

「よく分かったね ここにいること」

窓の外に顔を向けたまま言った

「わかるよ 優 こういうところ、好きだもんな」

「っ...」

「優」その声に心が揺るぎそう...

「なぁ、呼べよ 愁 って」

「俺様なところ、直ってないのね 」

「呼べよ」

「呼ばない」

そう言いながら立ち去ろうとした



「待てよ」

でも


出来なかった 腕が、愁によってつかまれていたから。


「やめて」

バッ


ふりほどいても、すぐに掴まれる

グイッ!


後ろに引っ張られて、体が傾いた


「--っ---! ....」

バサバサバサッ

背中には棚 手首は掴まれ愁の両手によって、棚に縫い付けられ

あたしの手にあった何冊かの本は、床に散らばっている。


「離してよ...」

愁の鼻とあたしの鼻がくっつきそうなくらいの、距離

「離して欲しかったら、名前呼べよ」

「イヤッ!絶対いや!雷城雷城雷城雷城かみしっ------ !?」

その言葉を言い終わる事が出来なかった