虹のカケラ



『1年C組』





体育館で校長先生が言う。





拍手に包まれてあたし達が入場する。





席につき、長い校長、来賓の話を聞き流し
新入生呼名に移った。





その後の記憶が実はなくて





気が付いたら隣に座ってる康南に





「起きて!」





と揺さぶられてた。





『新入生、退場』





A組から順に退場していく。





あたし達のクラスも退場する。





先輩は男子と女子に別れて座ってて、その間を歩く。





(早川先輩…いるかな。)




でも通り過ぎる時、いくら探してもいなかった。





教室に着くとすぐに机に突っ伏した。





「はーるー!」





「わっ」





いきなり後ろに誰かがくっついてきた。





「え…。夏音?」





後ろにくっついてる女子を見ると





肩位の黒髪に、うっすら日焼けしてる





笑顔があった。





「そーだよ!名簿で普通気付くでしょ!」





「久しぶりだね、夏音。」





小林夏音。





小学生の頃、いつも一緒だった。





中学は離れたけどたまに連絡もしてた。





バスケ部に中学生時代は所属してて、成績優秀。





「西川高校にしたの?確か、えーと。私立行くって…。」





「うん。葉瑠ママから葉瑠は西川高校に行くって聞いたから。」





「そうなの!!またよろしくね。」





「夏こそよろしくね。」





夏音は自分の席に戻ってった。





自分の事を「夏」と呼ぶのにぶりっこじゃなくて男女問わず人気者だった。





担任の話は意外と短くすぐ帰れることになった。





「葉瑠。」





「何?」





康南に呼ばれた。





「あのね!めっちゃイケメンの先輩がいるらしいの!この後見に行かない?」





「え、でもいいの?」





嫌な予感がした。





「もう入学式の片付け終わったんだって。部活熱心な先輩だからもういるらしいよ!」






部活熱心





心臓が高鳴る。





「うん。行こ。」





体育館に行くことにした。





早川先輩、





会いたい。





でも、他の人にも注目されてるの?





目立ってほしくないよ…。





複雑な気持ちが頭を支配してる。