早川先輩は、あたしの親友・早川千穂の一つ上兄。
同じ中学の先輩で、バスケ部だった。
中学で仲良くなった千穂の家に遊びに行くとたまに先輩はいて、
「葉瑠ちゃん、元気?」
と声をかけてくれた。
先輩がバスケ部なんて早く分かってたらバスケ部に入ってたのに。
「今もバスケ続けてるのかな。先輩。」
上履きに履き替えて廊下を歩く。
クラス発表の紙を見ると、1-C。
今考えてみると、千穂は別の高校。
「お兄ちゃんと同じ学校なんて、嫌。」
早川先輩はかっこよくて、頭も良い、おまけに運動神経抜群。
モテる3拍子が見事に揃ってる。
そのため千穂も先輩の妹ということで脚光を浴びてしまい、それにこりごりらしい。
「友達できるかな…。」
葉瑠、なんて派手な漢字だけど
あたしは凄い臆病者。
先輩のことを考えるのを止め、教室に入る。
「お、おはよー。」
第一印象が全て。
失敗すると悲しい高校生活を送ることになる。
とどっかで聞いたことがある。
挨拶をして入ってみた。
でもみんなあたしに気付かなかった。
(嘘でしょ。)
とりあえず席に着く。
