■ SIDE AZUSA ■ 「上村、後でな」 「あとで?」 学校に着くと礼央のクラスのA組の前で突然礼央がそう言った。 「ああ、昼も一緒に食おうぜ。ひとりで食べるよりいいだろ?」 「でも…」 「あ、あたし今日委員会あるからふたりで食べて!」 ほんとは委員会なんてない。 あたしは薄々気が付いていたんだ…礼央が上村さんの事が好きだって。 だからあたしは、礼央が上村さんの事を見てるのを見るのが嫌で―――逃げた。 「じゃあな」 そう言って礼央は教室へ入って行った。