私は吉岡くんの言葉に甘え、しばらくふたりで歩いていると、見た事のある後ろ姿が見えた。
「あ、原田さん…」
そう呟いた時、その人がこちらを向いた。
やっぱり、原田さんだ。
原田さんもこちらの存在に気づき、駆け寄ってきた。
「礼央…と上村さん?」
「家が近いんだ。だからこれからは一緒に行こうと思って」
普通に考えればおかしな話だ。
恋人と一緒に全く関係ない私が一緒に通うなんて。
「あの…」
「足、大丈夫?きのうかなり痛かったでしょ…」
「いえ、あの!…きのうはありがとうございました」
やっと言えた。
心の中のもやもやが少しだけ晴れた気がした。
「いいの、あたしが勝手にやったことだから」

