私は、母に捨てられた。
父と数年前に離婚した母は、新しい夫を見つけて子供を授かったらしい。
その旦那さんには私の存在は伝えてないから、前田さんて言う家庭に私を放り込んだ。

養子に出されたんだ、高校生で…。



『上村さん、上村愛生さん』

「払ってくるからここで待ってて」

「はい」



私が幸せだと感じた事は記憶にある中で2回。
父と母と私で小さい頃テーマパークに遊びに行ったとき。

もう一回は、石塚先輩と付き合えた時。



「早く立ちなさい、行くわよ」

「はい」



母は変わった。小さい頃は優しかった。
父とケンカするようになってから、すごく怖くなった。