「お前どこ見てんの?…あ、愛生ちゃんか」
「え!?いや…」
“愛生”と言う名前に過剰に反応してしまった自分が恥ずかしい。
俺、彼女居んのに。
「可愛いよなぁ~、あ、ボーっとしてるのもそのせいか?」
「…うるせぇよ」
今更否定するのも変だと思って、否定しなかったら、「可愛い彼女いるくせに~」ってニヤニヤされた。
「あの子、虐められてるってのは聞いたけど、全員じゃないだろ?なんで誰も手伝ってやんないんだ」
「愛生ちゃんを助けたり、話しかけたりしたら愛生ちゃんを虐めてる奴に目を付けられるからだろ」
だから、梓もすぐに上村から離れたんだ。
自分が傷つかないために、他人を犠牲にするなんて。
「許せねえよ…そんなの」

