善いヴィッチ

昼休みが終わって、午後からは体育の授業。

体育の教師が急用でいない為、自習となっていた。

みんな思い思いにサッカーしたり、談笑したり、車座になっていたり、好き勝手にやっている。

そんな中でも、やっぱり佐々木さんは僕の傍らにいる。

9月とはいえ、まだ日差しも強い。

校舎の陰の涼しい場所で二人佇みながら。

「若本、若本っ」

手招きして、佐々木さんは僕を見えない死角に誘い込む。