私にはずっと聞こえていた。
世界がくるくるくるくる回る音、それは決して私のためではなく、この地球上に住む者達への希望の音。
だけど、私は何度その音から逃れようとしたのだろう?
男に抱かれても満たされぬ、腕に赤い線を引いても満たされぬ、夜遊びしても満たされぬ。
幾度となく、この音から逃げようとしたんだろう?
けれどもまた聞こえるのだ、世界が回る音は。

それは今も尚、聞こえている、パソコンをいじっているこの暗い部屋でも鮮明に、私には聞こえるのだ。
疎ましいほど「お前は生きている」と告げてくるのだ。

画面に映るそれは、とてもじゃないが社会的ではない、出てくる文字のほとんどが「死にたい」「疲れた」「もう嫌だ」と泣いている。
私だって、疲れた、けどここには書かない。
だって、書いたところで、誰も私のことなど可哀想なんて思ってはくれない。
人は、誰かを可哀想なんて思う前に、自分のことで一杯一杯で、可哀想なんて言ってくれても、そう言っている自分に酔っているんだ、そうとしか思えない。
でも、ここを見ていると、私だけじゃないんだと思えるのだ。

マウスを操作している右手は、寒くてかじかんでいて、布団にもぐりこみたい。
だけど、もう三日もまともに寝ていない、というか寝たくないの、眠るのが怖くてずっとずっと画面の中の世界を黙々と見つめてた。