『聞かないの?』
ある日、唐突に君が聞いた。
何を?と聞くと。
『どうして私が図書室に来るのか』
『……来たいから来るんだろ?』
君が来る理由。
たぶんそれは帰りたくないから。
わかっていたけれど、
それを僕に聞く権利はない気がした。
あれだけ人目を気にせず泣くほどの何か。
その何かは、興味本位で聞ける内容ではない。
『……優しいね』
君は少し泣きそうな顔をした。
『あなたになら、話してもいいって思ったの』
心にいっぱい抱えきれなくなった何かを。
僕は静かに聞いた。
『失恋、したの。それだけよ』
その言葉を口で転がす君は泣きそうで、
だけど君は僕の前では泣かない。
確信的にそう思った。
雨が降ればいいのに。
真っ赤に染まった夕日は夕立を連れてくる気配がない。
だから、君は泣けない。
ある日、唐突に君が聞いた。
何を?と聞くと。
『どうして私が図書室に来るのか』
『……来たいから来るんだろ?』
君が来る理由。
たぶんそれは帰りたくないから。
わかっていたけれど、
それを僕に聞く権利はない気がした。
あれだけ人目を気にせず泣くほどの何か。
その何かは、興味本位で聞ける内容ではない。
『……優しいね』
君は少し泣きそうな顔をした。
『あなたになら、話してもいいって思ったの』
心にいっぱい抱えきれなくなった何かを。
僕は静かに聞いた。
『失恋、したの。それだけよ』
その言葉を口で転がす君は泣きそうで、
だけど君は僕の前では泣かない。
確信的にそう思った。
雨が降ればいいのに。
真っ赤に染まった夕日は夕立を連れてくる気配がない。
だから、君は泣けない。



