時間の指定はなかった。 早めに行った方がいいのか、遅めの方がいいのか、それこそ吐きそうになるくらいに悩んで、漸く実家の前に立てたのは夜8時。 その間、お父さんから再度の連絡はなかった。 「………。」 気が重い。 足が重い。 雨宮さんの家にお邪魔したときとは比べ物にならないくらいだ。 私の中で芽生える気持ちも全然違う。 おかしいんだよ、だって。 自分の家に入るのが、…怖いんだ。 「……スー…ハー…、…スー…ハー…」 深呼吸を繰り返してみても、バカみたいに足が震える。