「そーだよバカ兄貴。大体俺らに相談もなしに何勝手なこと言ってんだ」
雨宮くんは、そう言って箸を雑に置いた。
背もたれにもたれて、雨宮さんを睨みつける。
「…だってお前だって心配じゃねーの?このまま美月ちゃんに一人暮らしさせたら冗談抜きに死ぬと思う」
「いや、うん、まぁ…そうなんだけど…とりあえず俺らの意見も聞けよ…睨むなよ恐えな…」
「うるせぇ。この家の主導権は俺にある。お前らの意見は受け付けん」
「…出た…無駄な男気…権力の乱用…」
理不尽なことを言っているのは、100%雨宮さんなのに、彼のあまりに堂々とした態度があっさりと立場を覆した。
ちょろい…
私が言うのもなんだけど、ちょろすぎるよ、雨宮くん…
もっと自信持っていいと思うヨ…
「…冗談抜きに。その方が親御さんも安心すんじゃない?」
ふぅ、と、溜息交じりに向けられた雨宮さんの言葉と、真剣な瞳に、思わず目を見開いた。
―――安心?
安心て…
あの人たちが?
「……や、あの人たちは別に、私が死んでも何とも思わないと思いますけどね」
安心、て。
何それ、笑える。
