「覚えてねーか、無理もねーよな、あんだけ酔えば」


「…、…よ、酔う?誰がです…?」


「美月ちゃんが」


「……。」



雨宮さん、当たり前のようにサラっと言いましたが。


ものすごい記憶を巡らせてみたけれど…すみません、記憶がありません。




「雛の酒間違えて飲んで、泥酔」



雨宮さんの指先は間違いなく私に向けられている。


…なんですか、その含み笑いは。


まさか、私がそんな間違いするとでもお思いで?



「……いやいやいや…」


「お前まじで酒癖わりーのな」


「いやいやいやいやいや」


「脱ぎ出したときはさすがにどうしようかと思ったわ」



遠い目でそんなこと言われても、思い出せな……


……


…い、というのは嘘で。


いやいやいや、と言いながら若干記憶が戻ってきていた。


と、言っても、ほぼ記憶はないんだけど。


変な味のレモンスカッシュみたいなの飲んだあとすぐに、体が熱くなって、ふわふわとして…



……。



あれがお酒だったとしたら、その後記憶がなくなったことにも納得できる。


お酒なんて飲んだことなかったから、自分が強いかどうかなんて知らなかったけれど。


どうやらすこぶる弱かったらしい。




「……昨日、私…何しでかしました…?」



残り少ない気力を振り絞ってそう聞くと、雨宮さんは天を仰いで「うーん…」と唸った。




「暴れてた。にゃんにゃん言ってた。ほぼ全員に抱きついてた。…全裸になろうとしてた」
「申し訳ございませんでした」


「……そんな分かりやすく落ち込むなよ…可愛いなお前…」




がっくりと、ソファーの上に項垂れた。


落ち込みもする。


だって、私ここに何しに来たんだよ。


ただ迷惑かけに来ただけじゃないか。