こんなに酒癖の悪いやつだとは思わなかった。
動画撮って脅せるレベルだ。
それくらい人様に見せてはいけない姿だった。
なんという淫乱な姿を…
「…どうしよう…俺見ちゃったかも…美月ちゃんの下着…っごめんなさい…っ」
「わー…やったー…何色だった…?」
「雛ちゃんの着眼点そこ!!??」
湊はかなり取り乱していたけれど、あの暴走の中だったら事故で見えてしまっていても仕方がない。
…だって正直、俺も…
「…黒だった…」
ばっちり見ましたからね。
「今時の女子高生は凄いのつけてんだな…」
「…すけべおやじ」
しみじみ噛みしめていた朔兄に即座に突っ込んでやった。
すぐに向けられたのは、余裕の笑み。
「お子様には刺激が強すぎたか?顔が赤いよ望くん」
「赤くねーからっ」
とか言い返しながらも、自分の顔が熱いことには気付いていた。
いや、だって、見えちゃったレベルがチラっととかじゃなくて…がっつりだったし…
思い出しちまった…
「眼福眼福」
「何言ってんだバカ兄貴」
「冗談だろ、真に受けんな」
しらっと呆れた視線を向けられたことが悔しくて、盛大な溜息をしてやった。
くそ。
朔兄は本気なのか本気じゃないのか分からんときがあるから面倒だ。
そして、やっぱり無駄に大人だ。
もう平然としてやがる。
「このまま当分起きないかな」
そう言って部屋を出ていった朔兄。
戻ってきたときには、毛布を抱えていた。
「とりあえず寝かせといてやろう」
朔兄の言葉に反論する気なんて、もちろんなかった。
