見つかってしまった。
と、いうか、なぜ私がいることバレたんだろう。
「そこの小窓からチラチラ見えてたからね」
…雨宮さんが指差した先は、玄関の横。
鉄格子に遮られているせいで、開いていることに気付かなかった小窓。
ここから見られていたとは。
「入れば?」
「う…はい」
「今あからさまに嫌がったな」
玄関の靴を整理しながらそう言った雨宮さん。
そんな彼をどうしていいのか分からずに見つめていると、いきなり手が伸びてきて、腕を掴まれた。
大きな手はとても力強くて、逆らうことなんて出来ない。
「はい、いらっしゃい」
「……。」
ガラガラ…パタンと音を立てて、玄関のドアが閉まった。
完全に逃げ場を失ってしまったようだ。
やられた。
雨宮さんは、不意打ちが多すぎる。
そして、近い。
近いです。
何でちょっと面白がってるんですか。
私の反応面白がってますよね、完全に。
「…なんです」
「いや?別に?」
そんな近くで見下ろされたら、どんな顔をしていいものなのか…
「上がって上がって、もうすぐ飯の支度出来るから」
つっかけていたサンダルを脱いで部屋の奥に向かおうとした雨宮さんを、少し遅れて追いかける。
靴を揃えて振り返ると、雨宮さんは珍しいものでも見るような目で、私を見ていた。
それに気付いてすぐに怪訝な顔をしてみせると、彼はそんなのお構いなしと言わんばかりに笑った。
「ようこそ雨宮家へ」
そんな、改まって言われてしまったら。
「……お邪魔、します」
お邪魔しますだって、上手に言えない。
