おうちにかえろう





「…、」



…で?






「何で倒れてたわけ?」


「………。」




まさか、今この瞬間にその話題ほじくり返しちゃいますか。


2人きりで、完全に逃げ場がないんですけど。


さっき大して興味なさそうにしていたから、すっかり油断していましたよ。


急にくるなんて、ずるいです。





「…年頃の女の子が腹空かせて道端で倒れるとかよっぽどだぞ」


「……。」


「飯買う金ないとか?」


「…………いや、…あるっちゃあるんですが…ないも同然というか…」




足は止めないままでも、真っ直ぐな視線を感じてしまって、上手く視線を合わせられなくなってしまった。


…そうですよね。


気になりますよね。


当たり前ですよね。


出逢った瞬間からこの人の言うことは全て「その通り」なものだから、どう対応していいのか分からなくなる。



まさしく、仰る通りなのだ。全部。


だけど…






「……すみません。助けて貰った方にこんなこと言うのアレなんですけど…」


「言いたくないってか」
「そうなんですほんとすみません」


「即答かよ。ちょっとくらい悩めよ」




…突っ込みまで仰る通りだ。


いや、でも、これでも少しは悩んでいるんです。


だけど、こればかりはどうしても、聞かれたからと言って答えられないんです。


まーちゃんにだって、仲良くなって随分たってから、やっと話すことが出来たのに。





「…、ダイエットしてました。極度すぎて倒れました」


「話逸らすの以上に嘘つくの下手だなお前」


「…すみません」




溜息をつかれて、私まで溜息をついてしまった。


本当にごめんなさい。


でも、人には言いたくない。