間違いなく見たこともない人がいるんですけど…確かに、スーツは着てるみたいだけど… あんなチャラい感じの人、知らないな… 何? 人違い? でも、美月ちゃんて言ってたような… 「…あの…どちらさまで―――」 と、問いかけようとして、その続きは飲み込んだ。 彼が顔を引っ込めたおかげで、別の顔が見えたからだ。 …まさか、今日の今日来てくれるなんて、思わなかった。 「…すまん、こいつのしつこさに負けた」 黒髪の神様。 黒髪様じゃないですか。