…そう思ったのも束の間だった。
「おっかえりー!!!美月ちゃんっ!!!」
「美月ちゃんお帰り…遅かったね…」
リビングのドアが勢いよく開いたと思ったら、そこから顔を出したのは入間さんと梅田さんだった。
なにやら揉めているらしかったのに、入間さんの笑顔は実に爽やかだ。
梅田さんはやっぱりなテンションだけれど、今日のフードにはネコ耳みたいな耳がついていて、可愛い。
(…ネコ耳…お揃い…)
さすがにそれは言えなかったけれど。
…どうして帰ってきたことバレたんだろう…。
「俺らもね、ちょうど今帰ってきたばっかなの!朔ちゃんものんも!」
「タイミングばっちりだよ美月ちゃん…」
「…え、わ、わ、…ちょ」
両腕を、2人にがっちりと掴まれて、半ば連行される形でリビングへと引きずり込まれた。
外にいる時から感じてはいたけれど、…ニンニクのいい香りが鼻をくすぐる。
「ああ、お帰り。ちょーど飯出来たとこだよ」
空のペットボトルを袋にまとめながらそう言ったのは、雨宮くんだった。
前髪をちょこんと結んでいるから、一瞬誰だか分からなかった。
ご飯…まかない食べてきてしまったんですが…とも言い辛い雰囲気。
と、いうか、この感じ…
(…や、やっぱり慣れない…)
今の、雨宮くんの発言もそうだけど。
慣れない。
慣れない。
全然慣れなくて、…くすぐったい。
「…おーまーえーはー…」
