「……あ、ちなみにその黒髪の神様ね、雨宮くんのお兄さんだった」
私の言葉に、彼女の元から大きな目の大きさが2倍になった気がした。
「まじで!?どんな偶然!?」
「私もびっくりした」
まーちゃんも、大分びっくりしていた。
私と友達になってから、まーちゃんはきっと、びっくりしてばかりだろうな、と思う。
いけない。まーちゃんの寿命が縮んでしまう。
心配かけないようにしなければっていつも思うのに、上手くいかない。
「雨宮かー…ちっ」
…舌打ちした。
黒いまーちゃんが顔を出した。
もしかして…
「…今回も負けたの?」
「テストの結果見た!?3点差だよ!?あり得ない!!」
人を外見で判断してはいけない。
見た目は完全に今時のギャルなまーちゃんだけれど、何と学力テスト学年2位の実力者なのだ。
ちなみに私は今回、100位ぴったりだった。
まぁ満足だ。
でも、テスト前なんて結構勉強したと思うのに、それでも100位だ。
2位って、かなり凄いことだと思う。
だって、うちの学年は確か…400人弱いたと思ったもの。
十分すぎるくらいの結果だけれど、まーちゃんは納得できないらしい。
「何で今回も雨宮が一位なの!!あたしのが絶対勉強してんのに!!」
まーちゃんの夢。
それは、お金持ちになること。
勉強はそのための布石…らしい。
「…謎だよね」
「謎すぎるでしょ!!」
絶対王者の座はいつも、雨宮くんなのだ。
勉強?何それおいしいの?って外見をしているくせに、いつも一位だ。
「授業さえちゃんと聞いてればあんなの当たり前」
「!!噂をすれば来やがった…!!」
低い声が降ってきたと思ったら、まーちゃんを見て鼻で笑う雨宮くんが居た。
「勉強すりゃあいいってもんじゃねぇしな」
…うん、どう見ても学年一位には見えない。
人を見かけで判断しちゃいけないってことは分かってるんだけどね。
見えないもんは見えない。
