【短編】JEWEL



「なぁ……」

「何?」

「さっきの……なんだけど」

「さっきの?」

「ん……だから」


モゴモゴ話す大智にイラッとした。

さっきの事もあるから、余計にイライラする。


「男でしょ、ハッキリ言ったら…」


そう言いながら顔をあげた瞬間だった。


大智の顔が、今までに見た事もないくらいに真っ赤だったんだ。


押さえていたドアから手を放し、大智がエレベーターの中に入った。


――ウィーン

とエレベーターは音を立てて上昇し始める。


あたしは、大智から目がそらせなくて。


ただ、唖然とその顔を見てるだけ。