【短編】JEWEL



何よ、ソレ。超ムカツク!


ほんっとーにムカツク!!!


あたしは、惚れぽいけど騙す事ないじゃん。


騙された自分自身にも、すごい腹が立つ。

ドキドキしちゃった自分がムカツク!

一瞬でも、あたしも大智が好きかも?


なーんて都合よく大智を好きになりそうな自分がムカツク!


真剣に考えた事も。

大智を男として見ちゃった事も。


何か全部が、すっごく恥ずかしくて悔しいっ!


あたし馬鹿みたいじゃん。

あー、もう。
この性格が本当に嫌い。


エレベーターのボタンを乱暴に3回押して、上を見上げた。

まだ1Fにあるエレベーターは、ウィーンと低い音を立ててようやくあがってくる。


もう! 早くあがって来なさいよね。


イライラを隠せないあたしは、もう一度エレベーターのボタンを押した。

やっと来たエレベーターのドアの開く遅さに、またイライラして。


中へ入ると、自分の家がある12Fをバンバンと押し“閉”を押した。