【短編】JEWEL



「んーと。
優しくて、大事にしてくれて、かっこよくて、困った時には助けてくれて、浮気しなくて、あたしを一番に愛してくれる人かな」

「……漫画の読み過ぎ」


ニッコリ笑顔で語るあたしに、ボソッと呟いた大智。


ま、漫画って。

そんな風に言わなくてもいいじゃない。

それに漫画なんて、そんなに読んでないもん。


ぷぅっと膨れたあたしを見て、頭をかきながら


「自分の女だったら、優しくもするし。
好きなんだから大事にもする。

それに好きだから付き合ってんだから、普通は一番って事になんじゃね。

困った時に助けるのは彼女じゃなくてもする奴多くね?

浮気は、まぁわかる気もするけど」


急に真剣な顔をして答えたりなんかするから。


「た、確かにそうだけど……」


動揺してしまった。

だって、そんな事言うなんて思ってなかったんだもん。


『お前、本当ガキだな』

こんな感じの言葉が返って来るって思ってたから。


そうして、あたしが言い返すんだ。

『大智の方がガキでしょ。中学生のくせに』って。


いつもなら、こうなるのに。