【短編】JEWEL



「え。あー、ソレ信じたんだ」

「は!? もしかして……」

「うん、嘘」


こ~い~つ~ぅ。


一瞬でも、大智の事を考えたあたしの気持ちを返せ、馬鹿!


本当、大智だけはわかんない。


「はぁ~。信じた、あたしが馬鹿だったけどさ。大智、ちゃんと恋愛しなよ?」


大きく溜息を吐きながら、大智を見つめた。


「何、ひよりに説教されんの、俺?」

「そういうわけじゃないけど……。そんな事ばっかしてると痛い目みるよ?」

「あぁ。それなら大丈夫。もう見てるから」


……?


そう言った大智の顔は、さっきの、

『好きな女に、相手にされない男』

の時と同じ表情をしていた気がした。


……大智?