【短編】JEWEL



――♪


鳴ったのは、大智の携帯。


それなのに、


「はい。あーうん」


凄く不機嫌な顔をして話してる。


「無理」


嫌な電話なわけ?


「別に」


言葉、短か過ぎないか。


「知らね」


冷たいなぁ。


「あー、てかウザイ。

彼女面すんなら別れて」


――ピッ。

そう言うと、携帯を半分に折って机の上に投げるように置いてしまった。


……。


今のって。


「彼女……から?」


苦笑いを零しながら、大智を見上げると、


「今別れたから、他人」


って、おいっ!


シレッとした顔で答えた。


今。

今さっき。


「好きな女の子に相手にされない。
って言ってたじゃない!?」


好きな子いるんだよね。


電話の相手は、その好きな子じゃなかったのか。