【短編】JEWEL



――♪

エレベーターをおり、家に入ると携帯が鳴った。


「はーい」

『あ、俺。早く持って来いよ』


――プツ…プープープー


耳にあてたばっかりの携帯からは、機械音。


あたし、今。

携帯出たばっかりだよね?


それなのに、もう機械音ですかい。


声の主は、さっきの大智。

最近じゃ、告白して振られたらお菓子をおごるって決まりまで出来てしまっている。


振られたのは、あたしなわけで。

しかも、すっごーく凹んでる時なのに、何であたしがおごらなきゃ駄目なのかが未だ不明。



「本当に、ムカツクー」


ひとり言を言いながらも、キッチンから大智の好きなポテトチップスが出て来てそれを選んでしまってる自分にもムカツク。


さっき、脱いだばかりのローファーに足を入れ、再びエレベーターに乗り込んだ。