風に恋して





あたしはただ、遙や陸斗の走りを見ることしかできかなかった。



たった数十秒が、何分にも何時間にも感じられた。



そして、やっと出たのはあたしのか細い声。








「お願い…

救急車、呼んで下さい…。」



「救急、車…?」



走り終わった瞬間の出来事だった。



陸斗は崩れるように、倒れこんだ。



「りくとぉーーー!!」