風に恋して





「え…ウソ………」



空耳かと思った。



「嘘ついたってしょうがねぇし。

小さい頃からずっと…幼なじみなんかじゃなくて、優衣が好きだった…。」



遙が…“陸上一筋”の遙があたしを好きなんて、思ってなかったから。



「は…ちょ!?なんで泣くんだよ!?」



気がつけば、頬を一筋の涙が伝っていた。


「そんなに嫌だったか…?」



遙が悲しそうな表情をした。



「違っ…嬉し、いの…。」



それは自然と出た言葉だった。