マリーは笑いを噛み殺しながらさりげなく話題を変えた。


「おまえ、スゲぇな。
さっきのペンキの言い訳、どっからヒネり出したの?」


もぐもぐもぐもぐもぐも…

マリーの質問に答えようと、菜々の頬が急ピッチで動きだす。

なんつーか…

ほんと、いちいち可愛いね。
素直さが、アブナすぎるよね。

んグっ

喉を鳴らした菜々が口を開いた。


「父にされたコトが他の人にバレると、もっといっぱい叱られたから…
色んなパターンの言い訳を装備済みなンデス! キリッ」




君はドヤ顔の使いドコロを間違ってると思うよ、うん。

ちなみにその装備品はこれから必要なくなるから、そこらに捨てて行こうか。


「へぇ…」


微かに苦笑しながらコーヒーカップを傾けたマリーを、苺を刺したフォークを握りしめた菜々がジっと見つめた。


「ああああああの…
わ私、も、聞いてもイイイ…」


ナニ吃るほど緊張してンの?
取って食ったりしねェよ?