着ているモノはダブダブだが、なんとか見た目は整った。

だが、中身はまだまだ改善の余地アリ。


「コレ…
どう使えばいいンでしょう?」


数秒間ナイフとフォークを見て固まっていた菜々が、眉を下げた情けない顔でマリーを見た。

腹が減っては戦はできぬとばかりに、女子的買い物の前にダイニングカフェに入った二人だったが…


(失敗だったか…)


マリーはテーブルに肘をつき、指で眉間を押さえた。

ココ入る? → あぅあぅあー
ナニ食う? → あぅあぅあー
ナニ飲む? → あぅあぅあー

菜々にはまだ少し、ハードルが高かったようだ。

女子って、こーゆーのスキじゃん?なんて安易な考えの元、マリーが勝手に雪崩落ちるほど苺が盛られたパンケーキとアップルティーを注文したのだが…

ソーデスカ。
ナイフとフォークも難題デシタカ。

吉野家にすりゃ良かった?

マリーは身を乗りだし、真顔でそっと囁いた。


「よし。とりあえず、握れ。
でもって、ウェイターに投げつけろ。
ソレは『アクマで執事デスから』って言っときゃなんでも許される、便利アイテムだ。」


…ソレ、なんて黒○事?