「「捨てた。」」


一瞬顔を見合わせたマリーとアンジェラが菜々に向き直り、仲良く声を揃えた。


「えぇぇ?!
そんな… でも… 私なんか…」


両手を頬に当て、泣きそうな顔で俯く菜々。

またか…

マリーとアンジェラは再び顔を見合わせた。

彼女の部屋を作る時も、そうだった。
『いりません』
『もったいない』
そして、『私なんか』…

これくらいの年の女のコなんて欲しいモノがたくさんあって当然だ。
お小遣い不足で親に泣きつくコだって少なくないだろう。

なのに菜々はナニも欲しがらない。
食べ物や飲み物ですら、与えなければ口にしない。

まるで、求めるコトが罪だとでも思っているように…

欲しいモノがあるのは、当たり前のコトだ。
手に入れたって、バチなんて当たりゃしねぇ。

それを教えるイイ機会だ。


「いつまでもパジャマじゃいられねぇだろ。
明日、アンジーと出掛けて、好きなモン買ってこい。」


言い放って再び箸を動かしだしたマリーを、菜々は複雑な顔で見つめた。

アンジェラは…
ナゼかやけにニンマリ笑った。