完璧に仕上がったかに見える菜々の部屋だが、実はまだ張りぼて状態。

ドレッサーとクローゼットは空っぽ。
チェストの中も、パジャマしか入っていないのだ。

ド○えもんを脱却し、嬉しそうに自分の部屋を掃除するようになった。

アンジェラと並んでキッチンに立ち、食後の後片付けをするようになった。

不全骨折は完治し、嘔吐もほとんどなくなった。


「そんな菜々ちゃんのために、明日、服とか色々買いに行こうと思いマス!」


夕飯の最中、アンジェラが高らかに宣言した。

ぶり大根をつついていたマリーと、漬物を齧っていた菜々が顔を上げる。


「そろそろ外出だって出来る頃だし、イイ加減その髪もなんとかしなくちゃなンないし。」


「おー、いンじゃね?」


「ままま待ってクダサイ!」


慌てて茶碗をテーブルに置いた菜々が、二人に両手の掌を見せてブンブン振った。


「あの、あの、いいンデス。
服はありますから。
えと… 私のジャージは…」


あぁ…

ソレ、アレ?
ゼッケンついた、えんじ色の?