そしてシャツの胸元を握りしめて俯くアンジェラの額を、長い指で強く弾く。


「痛って…」


「辛気臭ェ顔してンなよ。
オメェはアンジーだ。
使い捨ての救急箱だ。
俺にとっては、そんだけで充分なンだよ。
妙な後付け設定とか、やめてくンない?」


両手で少し赤くなった額を押さえ、アンジェラが唇を尖らせる。


「使い捨てって…」


「んだよ。
そのほうが、お互い気楽だろーが。
…一生大事にされてみたい?」


ナニソレ?!
キモい?!

瞬時に青ざめたアンジェラは、首と両手を勢いよくブンブン振った。


「いやいやいやいや…
ナイナイナイナイ…」


「じゃ、もうイイだろ?
俺たちは今まで通り、な?」


アンジェラが動きを止めると、マリーはソファーの肘掛けに頬杖をついて笑っていた。

いつものように皮肉そうに。
唇の左端だけを持ち上げて。


(…
なんか… ムカつく…)


アンジェラは顔を顰めた。